山紫水明ゾーンの希少な生きものたち

※この記事は10分くらいで読めます公開日:2015年02月07日
更新日:2015年02月07日

京都水族館の山紫水明ゾーン

 京都水族館の『山紫水明ゾーン』では、環境の変化や外来種などにより数が激減し、絶滅のおそれがある希少な生きものたちが展示されています。
大小さまざまな水槽は、子どもたちの目線でも見られるように工夫されて配置されており、タガメやゲンゴロウなどは年配の人には懐かしく、子どもたちには(図鑑で見た生きものを)初めて目の前で見られる貴重な機会で、幅広い年代で喜んで見られると思います。
山紫水明ゾーンに展示されている希少な淡水魚は、水族館のバックヤードで飼育されており、展示されている数の1.5~3倍くらいの数がいます。
京都水族館では、希少種の保存という大切な役割も担っているのですね。

【このページの目次】

山紫水明ゾーンの場所

京都水族館の地図

 京都水族館の山紫水明ゾーンは、水族館の出口に近い『ハーヴェストカフェ』と同じ空間にあります。
順序通り進めば、イルカスタジアムを出てすぐの場所です。
※ マップをクリックでパンフレットのスキャン画像を表示

山紫水明ゾーンの混雑状況

京都水族館の山紫水明ゾーン

イルカLive終了直後は多い

 山紫水明ゾーンは『イルカスタジアム』の出口すぐの場所にありますので、イルカLiveが終わった直後は人が凄く多くなりますが、逆にイルカLiveの時間は、人が少なくなります。
また京都水族館で食事メニューが一番充実した『ハーヴェストカフェ』と同じ空間のため、お昼時には人が多くなる傾向があります。

『生きもの案内版』を見てみよう

山紫水明ゾーンの案内板

希少な生きものについて解説

 山紫水明ゾーンには、展示されている希少な生きものたちの生態や特徴などが、イラスト付きで分かりやすく解説されている案内板があります。
京都の川と琵琶湖・淀川水系との繋がりなども分かりますので、ぜひじっくり見てみましょう。

レッドリストって何?

 レッドリストとは絶滅のおそれがある生物のリストで、最初は国際自然保護連合(IUCN)によって作成されました。
その後、日本では環境省や各自治体、学術団体などによって独自にリストが作成されています。
このページでは環境省のレッドリストをもとに解説しており、環境省のレッドリストの絶滅危惧種はⅠ類とⅡ類に分類されています。

  • 絶滅危惧ⅠA類(CR)・・絶滅寸前。ごく近い将来、絶滅の危険性が高い種。CRは「Critically Endangered」の略。
  • 絶滅危惧ⅠB類(EN)・・絶滅危惧。ⅠA類ほどではないが、近い将来、絶滅の危険性が高い種。ENは「Endangered」の略。
  • 絶滅危惧Ⅱ類(VU)・・危急種。絶滅の機器が増大している種。VUは「Vulnerable」の略

今では珍しい水生昆虫

ゲンゴロウ

タガメとゲンゴロウ

 写真の『ゲンゴロウ』は日本では昔から田んぼで親しまれてきましたが、最近では見ることが少なくなってきた希少な水生昆虫です。
お子さんにとっては図鑑などで見たゲンゴロウを、生で見られる貴重な機会だと思います。
後ろ足をボートのオールのようにスイスイと動かして泳ぐ姿を目の前で見ることが出来ます。

タガメ

 こちらは日本最大の水生昆虫のタガメです。幼虫から成虫になるまで5回の脱皮をして、成虫は5~6cmになります。
かつては田んぼを代表する昆虫でしたが、生息地の環境破壊などで数が激減し、現在ではゲンゴロウと同じく環境省のレッドリスト『絶滅危惧Ⅱ類 VU(危急種)』に指定されています。
年配の人には懐かしく感じる人も多く幅広い世代に喜んでもらえますね。

琵琶湖の『ビワヨシノボリ』

ビワヨシノボリ

岩場を登ることも

 『ビワヨシノボリ』という名前の通り、琵琶湖の固有種で4~5cmほどの小さなハゼ科の魚です。
京都を流れている宇治川は滋賀県の琵琶湖を水源としており、京都市内には琵琶湖の水を引くための水路(疏水)もあって、琵琶湖に住む生きものが京都でも見られるようになっています。
このため、京都水族館には琵琶湖の固有種もたくさん展示されています。

岩を登るビワヨシノボリ

 草の葦(ヨシ)にも登る意味で名前がついたヨシノボリは、実際には葦には登りませんが吸盤状の腹鰭(ハラビレ)で岩場を登ることが出来ます。
このビワヨシノボリですが・・普段の動きや岩を登っているところなど、かなり可愛いです。
ぜひじっくり見てほしい魚です(^^

絶滅寸前の『ニッポンバラタナゴ』と『イチモンジタナゴ』

ニッポンバラタナゴ

絶滅寸前のタナゴ

 ニッポンバラタナゴは4月から8月の産卵期になると、オスの体は綺麗なバラ色(婚姻色)になる美しい魚ですが、京都や滋賀では既に絶滅してしまいました。。
現在は環境省のレッドリストで最も絶滅の危険性が高い『絶滅危惧Ⅰ類、CR(絶滅寸前)』に指定されています。

イチモンジタナゴ

 こちらの『イチモンジタナゴ』は、体に青緑色の長い線があり、これが漢字の『一』に似ていることが名前の由来となっています。
ニッポンバラタナゴと同じく、オスは婚姻色になります。
本来の主な生息地である琵琶湖では環境の変化や外来種による捕食により、もうほとんど姿を見ることがないと言われていますが、琵琶湖の水を京都に引いている水路(疏水)により、京都の寺社仏閣などで生き残っていました。
ニッポンバラタナゴと同じく『絶滅危惧Ⅰ類、CR(絶滅寸前)』に指定されています。

絶滅危惧の『オヤニラミ』

オヤニラミ

目のような模様が特徴的

 エラのあたりに目のような模様が特徴的な『オヤニラミ』です。
スズキの仲間ですが、海と川を回遊しない純淡水魚です。
水質が汚れてしまったり、生息していた地域が破壊されてしまったり・・という環境変化に加えて、ブラックバスやブルーギルという外来種によっても生息数が減少しており、現在は環境省のレッドリスト『絶滅危惧I類 EN(絶滅危惧)』に指定されています。

危急種の『アユカケ』

アユカケ

石に擬態する幻の魚

 こちらの『アユカケ』は、名前の通りアユをエサとする魚で、もともとは日本全国にいたのですが、今では幻の魚と言われています。
環境省の「絶滅危惧Ⅱ類 VU(危急種)」に指定されており、絶滅のおそれがあるため、多くの自治体で希少な野生動物として登録されています。
このアユカケは、石の色に合わせて擬態出来る上に、何と息まで止めて気配を消し去り、完全に石になりきることで獲物を捕獲することが出来る凄い魚なんですね~
たまに大きな口で威嚇してケンカをしているそうです。

ニホンイトヨ

ニホンイトヨ

 産卵の時期になると川を遡上して、成長すると海に下る『ニホンイトヨ』は、既に絶滅してしまった『ミナミトミヨ』と同じトゲウオ科という仲間に属します。
体長6~7cmくらいの小さな魚で、京都ではもうほとんど見ることが出来なくなっています。

京都市の天然記念物のミナミイシガメ

京都水族館のミナミイシガメ

低い目線で見てみよう

 1983年に京都市の天然記念物に指定されている『ミナミイシガメ』です。
このカメの特徴は『笑い顔』で、口元の両端が少し上がっているため、笑っているような見えます。
低い目線で見てもらえるように、他の水槽より高さが低くなっています。

笑い顔のミナミイシガメ

 写真のようにアップで見ると、笑っているように見えるのがよく分かりますよね(^^
私たちは大人は水槽の上から見ることが多いため、なかなかこの笑い顔に気づきませんが、小さい子と同じくらい低い目線になると気付くことが出来ます。
「カメさん笑ってるね」という声がよくきこえるそうです。

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